2020年09月16日

秋のはじめにフランス映画を。「スペシャルズ!政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」

世界中が大絶賛!日本でもヒットしました映画「最強のふたり」のエリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュのふたりの監督のタッグが再び実現しました。
新作のタイトルは「スペシャルズ!政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」日本の副題が長いです。笑。そして実話が基になっています。





ふたりの人物が描かれています。
まずは、自閉症の子供たちをケアする団体を運営しているブリュノ。毎日朝から晩まで忙しい彼の口癖は「なんとかする」。ケアする子たちは様々です。その中のひとりはやっと洗濯機工場への仕事が決まった青年で、職場へひとりで通う道を教えたり、職場での会話の仕方を教えたり・・・でも、ボタンを見かけると押してしまうその青年は電車の非常ベルを押しては鉄道警察に取り押さえられて、それを迎えに行ったり・・・。そんなときに、緊急地域医療センターから連絡があって行ってみると、症状が重すぎるからと他の施設に断られ続けた少年の介助を頼まれます。彼は頭突き防止のヘッドギアをつけて、ひとりでは立ち上がることもできません。ブリュノは受け入れることにします。

もうひとりの人物は、そのブリュノの相棒と言っていいマリク。マリクは、ドロップアウトした若者たちを社会復帰させる団体を運営していて、教育した青少年をブリュノの施設に派遣しています。先ほど実話を基にしているって言いましたけど、モデルとなった方は自閉症の子供たちやティーンエイジャーを支援する青年を訓練するお仕事をされている方で、なので、映画でも居場所のない子供たちになんとか社会で働けるチャンスを作ろうとするわけです。

そんなふたりが日々奔走している中、監査局の調査員がやってきます。「半沢直樹」でいう黒崎じゃないですけど、ブリュノが運営している施設が無認可であることやスタッフたちが資格を持っていないことなどを攻め寄って、ブリュノが関わる人たちにも詰め寄ります。さぁ、ピンチです。施設は閉鎖に追い込まれてしまうのか、そんなときに事件も起きてしまい・・・というストーリー。

フランスでは公開されると、動員数200万人を突破。フランスのアカデミー賞にあたるセザール賞では9部門にノミネートされる高評価となりました。私も久々にフランス映画を見て「あぁ、フランス映画ってやっぱいいなぁ」としみじみ思ってしまいました。笑えるしグッときますし、あとはフランスならではのすぐ恋愛になりそうっていう。笑


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映画を見てひとつ知ったのは「療養」の重要性ですね。療育とは障害のある子どもの発達を促し、自立して生活できるように援助することをいうんですけど、一時的なことでいったら施設とか病院にいてもいいのかもしれませんが、じゃ大人になって、いつの日か親もいなくなって、とかその子供の未来を真剣に考えたときにどうするのがいいのか、っていうことです。で、閉じ込められたままだと、もちろん社会になんて出られるわけもないですし・・・そういうことについて考えさせられましたし、あとは、自閉症はじめ障害者のケアのお仕事されてる方をはじめ、老人介護などの福祉施設で働いている方、また保育士さんなど、他人の命を預かってるお仕事の人ってやっぱりすごいな〜ってリスペクトの気持ちでいっぱいになりました。

では、そんな大変なお仕事をなぜやるのか、その仕事に見いだすほんの少しの報われるシーンがあって、たぶんみんな自閉症のダンサーたちだと思うんですけど、舞台のシーンで・・・ 微笑ましさと切なさが混じりながらも見入ってしまう印象的なシーンでした。

映画「 スペシャルズ!政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話」
公開中です。


余談ですが、主演のヴァンサン・カッセルは2年前に30歳年下のモデルさんと再婚しています。お父さんも俳優。ファッションセンスもよくちょいワルオヤジな一面もあり「超おしゃれなフランス人俳優」として有名です。映画の印象と違うかもしれませんが実力派の俳優さんです。
posted by なりたま at 15:00| movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月10日

90年代のROCKやHip-Hopが流れ続けてサイコーです!映画「Mid90s」

90年代への愛と夢が詰まったスケートボード青春ムービー「Mid90s」。
90年代のカルチャーがあちらこちらに散りばめられていて、スーパー・ファミコンやカセットテープ、ストリート・ファイターなどが出てくるので、どのシーンをみてもワクワクするでしょうし、もしかすると、あの頃の自分を思い返して胸が熱くなったり、甘酸っぱい思いに浸ったりする方もいるかもしれません。





日本でもヒットした「ミッドサマー」やアカデミー賞候補作品「レディ・バード」「ムーンライト」などを製作して、今大注目の気鋭の映画スタジオ「A24」の作品。

監督は俳優のジョナ・ヒル。彼は映画ブラットピット主演の「マネーボール」やレオナルド・デカプリオ主演の「ウルフ・オブ・ウォールストリート」に出演してアカデミー賞助演男優賞にノミネートされるほどの実力派俳優なんですけど、この作品はジョナ・ヒル監督の半自伝的な10代の思い出をもとにして作られた作品です。





90年代真ん中くらい、スケートボードって流行ったんですよね〜。
ロサンゼルスのスケートパークで今はナイキが所有しているそうなんですけど、コートハウスっていう場所、、ジョナ・ヒル監督はそこで10歳の頃から遊んでいたそう。で、今回その場所が撮影場所になっていて、グラフィティとかゴミまでも90年代を再現できたそうです。そこに上手い子下手な子、プロまでもいて、男の子女の子がワイワイしてたんですね〜。

懐かしい気持ちになりました。余談ですけど、私も昔々ですよ・・・友達がみんなボードやってたんで集まっては滑って、喋って、みたいな。笑。高くは飛べないんで「ヤクルトジャンパーズ」って名前つけて集まってたんですけど・・・あの頃のことも思い出が蘇りました。

ま、話はそれましたが、
ストーリーは、13歳のスティーヴィーが主人公。力では全く勝てないお兄ちゃんとお母さんと3人で暮らしているんですけど、ある日、街のスケートボード・ショップに思い切って入っていくと、そこでその店を出入りする少年たちと仲良くなります。彼らの自由でかっこよくて、その憧れから彼らとつるむようになるんですが・・・っていうお話。


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ポイントはなんといっても、出演している主人公もその仲間となるちょっとお兄さんたちも全員スケーターだっていうところです!
主人公の当時11歳だったサニー・スリッチくんだけはプロのスケーターで俳優さんなんですけど、他に出演している、ナケル・スミス(黒人の人で映画では主人公を優しく面倒見てくれるレイ役)はAdidas、Supuremeなどに所属する超有名プロスケーター。ほかにも、ブロンドロングヘアのオーラン・ブレナット、彼は世界中を回るライダーであり、ファッション界でもグッチやヴェルサーチ、レイバンのモデルを務めちゃうような子で・・・つまり、この作品で演じているスケーターたちは演技をやったことない人たちが演技をしているんです。ところがそれが素晴らしい!
スケートのシーンが多いっていうのもあるんですけど、やっぱり、雰囲気とか喋り方ですよね。ちょっと悪っぽそうな、でも超いい奴!みたいな・・・そういうのを象徴するシーンもたくさん出てきます。

すっごく素敵なセリフがあって・・・スケートボードショップでの仲間たちとの会話でブラックジョークをいうシーンがあって、黒人であるレイに向かって誰かが「黒人は日焼けをするのか?」って尋ねるんです。「お前はどう思う?」って意見を求められた主人公のスティーヴィーが言ったセリフが・・・「黒人って何?」と。スティーヴィーのおうちでは「黒人は〜白人は」みたいな会話がないってことなんでしょうかね〜、、その純粋な姿に場が和むんです。大好きなシーンです。

音楽は、NINE INCH NAILSのトレント・レズナーが担当。そして、使われている楽曲はニルヴァーナ、ピクシーズ、モリッシー、サイプレス・ヒル、ミスフィッツ、ア・トライブ・コールド・クエストなどなど・・・音楽も時代とカルチャーを表現しています。
曲によっては歌詞がちゃんと翻訳されて字幕で出てくるので楽しめると思います。

映画「Mid90s」は伏見ミリオン座、ユナイテッド・シネマ豊橋18にて公開中です。





モリッシー、The Smithsファンも必見です!


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2020年08月29日

2020年8月に聴いた、なりたまとめ【後半】。

家時間が(もともと長いけど)より長くなりTwitterを日々チェックしては思うのですが、みなさんそれぞれのTwitterはどんな風になっているんでしょうね。
フォローする人って、好きだからフォローしたり、この人の意見や考え方に興味があるからとか、なんとなく一応フォローとか、みなさんそれぞれだとは思うのですが、自分で選んでいる以上、多少の偏りはあるじゃないですか。
偏りがさらに偏ることがないといいなぁと思っていても、SNSに知らず識らずのうちに操られている・・・そんな気がします。

日本では総理大臣が辞意を表明。アメリカではBLMに再び火がつき、コロナが落ち着く頃に世界は一体どんな風になっているのか、不安になりすぎることはないけど、それでもやっぱり考えてしまいます。

ちょっと社会派?、そんなでもないか。では、8月の続きを。





英マンチェスター生まれで現在はサリーを拠点に活動しているというマルチプレイヤーでもある若きネオブルースのアーティスト、イエロー・デイズ。
9月18日に待望の2ndAL「A Day in a Yellow Beat」をリリース。影響を受けたというマック・デマルコがなんとゲストに。スゴイ!
インディ系が好きな人はもちろん、ジャズやソウルが好きな人や細野さん系のサウンドがお好きな方、日本だと割と多方面に受けがよいと思います。昨年来日しているんですよね。どうだったんだろう・・・次の来日公演は行きたいな。
風変わりなAORとも呼べる"Love Is Everywhere"もぜひチェック!





このバンド素敵なんですよ。バンド名が「ドラッグ」なばかりに検索しても日本語はもちろん英語でもなかなかヒットしてくれないんですけど、この度デビューしました。笑
おととしロングビーチの小さな部屋で曲作りを始めたそうなので、アメリカのビーチに近いとこのバンドなんだと思いますが、まだまだ謎だらけ。ほんでもって曲もとにかく展開がユニークでワクワクします。この曲も3曲くらい合わせたような曲。
一応エクスペリメンタル系のバンドでAvant-Punkと書いていたメディアもありましたが、メロディはとてもポップ。デビューAL「Episodic」めちゃよいです。お気に入り。





ドラッグの次は「グレイテスト・ヒッツ」です。なんちゅーバンド名・・・売れる気あるんかーい!笑
オーストラリアのアーティスト、ライアン・クーパーが友人と組んだバンドで、70sグルーヴ&ネオ・サイケなサウンドと評されていましたが、まだそんなに音源がないので、これからが本当に楽しみなバンドです。再来年にはフジロックかサマソニに出演していそう。





日本の海外インディ・ロック系を紹介するメディアでも今年は注目されていますUKのニューウェーヴバンド、ワーキング・メンズ・クラブ。
注目はなんといっても10代っていうその若さなんでしょう。10月2日にリリースされるデビューアルバムは名門レーベルHeavenly Recordingsからリリースで、プロデューサーはアークティック・モンキーズの「AM」を手がけたロス・オートン。
聴いていると、確かにニューウェーヴ。シンセバリバリ。ブロッサムズほど狙ってないのが好印象(いや、ブロッサムズが悪いわけじゃなくて。笑)かな。それこそ、来年は来日公演&夏フェス出演ありなんじゃないですかね。





フランスからパプーズの新曲。うだるような暑さにハマるサウンド。
この夏はトウモロコシを3回食べられてなかなか満足。





もひとつ、この夏よく聴いたアルバム作品から。LAサラーミの3rdアルバムになります。
この曲は人種や政治に触れていてBLMに影響を受けた曲のひとつ。





ザ・クリブスでこんなにテンション上がったのもデビュー時以来ですかね〜(間空きすぎですね。ちょっと言い過ぎ。笑)
なんとアメリカに渡ってデイヴ・グロールのスタジオ606でレコーディングしたそうで(英マンチェスター公演でサポートアクトをした時のご縁だそう)、とっても聴きやすいクリブスらしい?ロック・ソング。
しかもMVに登場している俳優はサム・ライリー。ディズニー映画「マレフィセント」のカラスくんです。サムのバンドと昔アメリカで共演したことがきっかけで仲良しらしい。へぇ〜。





ニューヨーク/ブルックリン拠点のインダストリアル・ロックバンド、ユニフォーム。
9月にリリースのNewAL「Shame」から。相変わらずの鈍重!
灼熱の中で歩かないといけない時とか、こんなサウンドのイメージかなぁ・・・どんなだ!笑





いやいや、このサウンドで黒人アーティストっていうのに驚きました。
ワシントンD.C.を拠点に活動するBartees Strenge(バーティーズ・ストレンジでいいのかなぁ)。お母さんはオペラ歌手だそうです。両親の仕事によりアメリカやドイツなど数カ国に移り住んでいて、生まれはイングランドだそう。
にしても、ここ数年、黒人アーティストだけどサウンドは白人っぽいっていう人ちらほら見かけるようになりました。もちろん黒人だからソウルやヒップホップをやるのが当たり前っていうのはおかしいし、UKバンドっぽくても全然いいんです。全然いいんだけど・・・10月にリリースされるデビューアルバムのタイトルが「Live Forever」って、まさかOasisのファンじゃないよねぇ。笑(もちろんそっからじゃないと思うけど。)





ロサンゼルスのポストロックバンド、ヤング・ジーザスの5枚目のアルバム「Welcome to Conceptual Beach」から。
至宝の7曲46分。American Footballのような壮大なエモナンバーもあれば、サックスが印象的で「そよ風が吹きつけるような(爽やかな)ヨットロック」と評される"Pattern Doubt"、それとは全くタイプの違う難解な曲やジャジーな曲など、聴けば聴くほど楽しい作品です。


今月は名盤が多かったですね。
フェスや遊びで外に出なかった分、じっくり音楽に耳を傾けられましたかね・・・。



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2020年08月13日

2020年8月に聴いた、なりたまとめ【前半】。

お盆ですね。のんびりされていますか?
お出かけは遠出ができないので、一味違ったのんびりになっていることでしょう。
そんな中、今週はリクエストを募ってお応えする一週間。
早朝にもかかわらずたくさんリクエストが届き、さらには洋楽ロックはもちろん、ちらほらとインディロック&ポップもあり、本当に日頃伝えていることが届いているんだなぁ、と実感。本当に嬉しいです。

ありがとうございます。
では、のんびりとこの夏聴いている音楽を。





米シカゴのDIYバンド、Dehd(読めない。笑。前のバンドのDream EagleとHeavy Dreamsの合体らしい)。
もう3rdアルバムになりますね。AL「Flower of Devotion」はこの夏一番聴いている作品です。
EmilyとJason Ballaの男女ダブルボーカルで、Lo-Fiバンドと言ってしまえば一言で形容されてしまうのですが、最近のフェイヴァリットにCate Le BonやWayes Bloodをあげているところから聴いてみると、今作のアレンジなどはやりたいことが具現化できているようにも思う。





女性版Gorillaz的な、ノガ・エレズの新曲。
前の曲もヒップホップの誰かっぽい感じだったんですけど、イスラエル生まれで環境から培われた個性が加わることで、いい感じの彼女ならではのポップソングになるんでしょうね。
アメリカの人々と、彼らがブラックコミュニティの正義のために戦っている現状について書いたそう。





フランツ・フェルディナンドのアレックス・カプラノスとフランスのシンガーソングライター、クララ・ルチアーによる、ナンシー・シナトラとリー・ヘイゼルウッドのカバー曲。
なんというか、カラオケでデュエットしてるみたい。夏の帰省を思わせるMV。





UKスコットランドの25歳のシンガーJoesef。ロイル・カーナーをフィーチャーした1曲。
ひと夏、なにかトキメキを求める方にもおすすめです。日本でいうとちょっとDANっぽい感じも。





KaytranadaとKali Uchisのコラボで、Under The Coverっていう企画もの。
まだ発掘される前のミュージシャンと映像クリエイターをピックアップして、有名ミュージシャンがカバーしミュージックビデオを制作するというもの。これまでの他の作品もどれも素敵です。





いやいや驚いたー。テイラー・スウィフトが今回選んだサウンドがこっち系ということで・・・笑。
The Nationalのアーロン・デスナーを介してタッグを組んだボン・イヴェール。ジャスティン・ヴァーノンとアーロンのプロジェクトBIG RED MACHINEのファンであるというテイラーでしたが、アーロンを通じてテイラーが書いた曲が届くと、ジャスティンはその曲に対して歌入れをしただけでなく少し歌詞を手直ししたというエピソードがあり、そのやりとりを想像するとなんか微笑ましいですね。


後半もあるのでこの辺で。
明日はどんなリクエストが届くかな・・・わくわく。
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2020年08月05日

T.Rexがこんなにかっこよく響くとは・・・映画「LETO-レト-」

現在センチュリーシネマで公開中の映画「LETO」。
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、カンヌ・サウンドトラック賞「最優秀作曲家賞」を受賞した作品で、その他各国の映画祭で数々の受賞&ノミネートを果たし、世界中の映画・音楽ファンを熱狂させました。ロックファンはぜひみてほしい作品です。監督は、反体制的な芸術活動が要因で無実の容疑で国に拘束され、現在もロシア政府の監視下にある前衛的な芸術家キリル・セレブレンニコフ。1年半の自宅軟禁のさなかにこの映画を完成させました。








時は1980年代になります。なのでロシアではなく、ソビエト(ソ連)の時代で、当時はアフガニスタン戦争があって、若い男子は徴兵制度があったり、80年代後半は「ペレストロイカ」っていうゴルバチョフ政権による経済や社会の立て直しの時期があるんですが、舞台はその前になるので、若者たちもちょっと鬱憤(うっぷん)が溜まっていたりストレスを抱えたりもしているんですね。そのころには、ソ連とはいえ、70年代のイギリスのパンクロックが入ってきていたりして、影響を受ける若者もいたわけです。ロックが「規制からの解放」という役割をも果たしていたんですね。でも、そうなると西側諸国(資本主義諸国)の文化はダメだ!って取り締まる大人も当然いて、そんな中で、モスクワに次ぐ大都市のレニングラードのアンダーグラウンド・シーンはますますロックの音楽が花開こうとしていた・・・というお話。





実在したロシアの伝説的バンドが「キノ」っていうバンドなんですけど、そのヴォーカルであるヴィクトル・ツォイのデビュー期を基にしています。両親が朝鮮人とロシア人だった人で、映画でも演じているのはユ・テオっていう見た目はアジア系のドイツ人の俳優さんなんですけど、このキノっていうバンドのヴォーカルだったヴィクトルさんって、28歳の若さで亡くなった方で、そのときは大きなニュースになって、後を追うファンがいて問題になったほどだったそうです。

で、彼の才能を見出したのが、マイク・ナウメンコっていう、この人もロシアロック界で知らない人はいないっていう人で、彼がヴィクトルに目をかけてデビューさせようとするんですが、一方でマイクの奥さんのナターシャとヴィクトルがちょっと恋心が芽生えていい感じになっちゃうんですよ・・・切ない・・・。
ミュージシャンで、ジョージ・ハリスンの奥さんもエリック・クラプトンと恋に落ちたりとかありますけど、ミュージシャンってそういうなにかあるんですかね・・・。

でも、70年代80年代のロックが流れて、その流れ方もただ流れているだけじゃなくて、そのシーンに合わせて、ミュージカルっぽい演出で、列車の中で乗客も一緒にトーキング・ヘッズの”サイコ・キラー”が歌われたり、バスの中でルー・リードの”パーフェクト・デイ”が歌われたりするのは、まさかロシアの状況とか風景とこんなにリンクするとは思わなかったので、、ロシアにもロックが根付いていることもわかるし、すごくスタイリッシュに描かれているので、ぜひ楽しんでください。
ビーチではしゃぐ大勢の男女のシーンもなんか青春感じましたね。





デヴィッド・ボウイ、Tレックス、イギー・ポップ、トーキング・ヘッズなど、あの当時のロックがお好きな方は必見の作品。ロックミュージシャンを夢見た青年と彼を見出したロックスター、そして、その妻のある意味三角関係のストーリーでもあるこの映画、こんなに胸がキュンとするロシア映画は初めてでした。


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2020年07月31日

2020年7月に聴いた、なりたまとめ。

あっという間に過ぎた7月。
おうち時間を楽しくさせることは大事ですよね。
「外に出かけたい〜」とは・・・やっぱり思わなかったです。
映画は映画館への応援もあって、週一ペースで行ったかな。

音楽のほうは、Black Lives Matterの影響でのHip-Hop勢やSoul、Jazzミュージシャンによる新曲やカバー、各地のデモ映像を含んだミュージックビデオなど、そのどれもが注目でした。今起きていること、黒人たちが思っていることが一部ではありますがわかります。
そして、スフィアン・スティーヴンスの新曲"America"(大作でしたね)、The Nationalのアーロン・デズナーを主なパートナーにガラッとアーティスティックな音楽性に転換したテイラー・スィフトの新作「Folklore(フォークロア)」に思わず唸りました。

この時代だからこそ聴ける、見られるミュージシャンの本気が感じられた一ヶ月でした。





この夏はなんといっても彼です!ボーイ・パブロ!
いよいよ待ちに待ったデビューアルバム「Wachito Rico」を10月23日にリリースします。
3年前にリリースされたEPが大絶賛されたのですが、そのときはまだ高校生だったんですよね。
にしても、このいけてなさとプチぽっちゃりとレトロの絶妙感。ツッコミどころ満載のMV・・・最高。
今年はコロナがなければ日本にもまたやってきていたのではないでしょうか。来年フジロックに出ないかなぁ。

ノルウェー出身なんですが、両親はチリ人なんですよね。最近のアーティストさんのバイオグラフィに、こういう出身の国と両親がどの国の人かが一致しないことが本当に多く、グローバル化や移民の関係なのか、とにかく今の時代をとても象徴しているように思います。
日本国籍のイギリス人アーティスト、リナ・サワヤマの国籍がイギリスではないために「マーキュリープライズ(イギリスで最も優れたアルバムに贈られる名誉ある賞)」にノミネートされなかったことが問題となっていましたが、これももうそろそろ変えていくべきものなのかもしれません。(まぁ、日本側が2重国籍を認めてくれると済む話でもあるのですが・・・)なかなか複雑です。





ゆるきも可愛い手足の長い二足歩行の犬たち・・・お洒落〜、なミュージックビデオ。
アラバマ・シェイクスも絶賛するSSWベッカ・マンカリのNewAL「The Greatest Part」が6月末にリリースされ、今月はよく聴きました。"Hunter"と"First Time"もすごくいいんですが、この"Lonely Boy"はミキシングのアップダウンもユニークで好きですね。





アメリカLAのオルタナバンド、Young Jesusの新曲。
美しいです。マスロックで複雑さが魅力の印象があったので、この曲は驚きもありました。
もう一曲公開されている"(Un)knowing"はエモい感じ。8/14にNewAL「Welcome to Conceptual Beach」リリース。楽しみ。





「コロナ疲れしてるからリラックスできる音楽が聴きたいんだけど、オススメありませんか?」って聞かれたら迷わず答えるのがLand of TalkのNewAL「Indistinct Convasations」。
カナダのバンドで、フロントウーマンがエリザベス・パウエルという人なんですけど、番組の月一コーナーでピックアップしたAmerican Footballの昨年のセルフタイトルアルバムに収録されている"Every Wave To Every Rise"にフィーチャーされているのが彼女です。素敵な歌声です。活動も少しのんびりなLand of Talkですが、そのゆっくりが癒しサウンドにつながっています。いつまでも聴ける良作。




ダイナー・パーティーのアルバムもお気に入りですね。
LA JAZZシーンのプロデューサー、テラス・マーティンとSAX奏者カマス・ワシントンは、"Pig Feet"というBlack Lives Matterに関連したプロテストソングも公開していて番組で紹介させていただきました。





イギリスBBCが今年の注目にあげ、Super Sonicでの来日も決定しているフィリピン出身ロンドン在住のSSW。
音も映像も馴染みやすいですね。加工アプリでもこういう映像って作れるらしいですね。自分のリアルタイムが、ダサいって言われるのと、カッコイイってフォローされるのと、どっちがいいのかなぁと考えるのですが、素でお洒落だと思われているのはそれはそれで寂しいというか・・・笑。





では、アメリカからはBULLY。いじめっ子がバンド名のパワー溢れるオルタナバンドです。
8/21にNewAL「Sugarless」をSUB POPからリリース。
プロデューサーは、St.VincentやSleater-Kinneyなどを手がけているジョン・コングルトン。
こういうロックに女子ボーカルのしゃがれ声はなんかホッとするんですが、このボーカルのアリシアちゃんはスティーヴ・アルビニ(NIRVANAやPIXIESなどあの時代の名盤を幾つも担当している神様みたいなレコーディング・エンジニア)のスタジオで働いていた経験もあるのだそうで、音作りをしっかり理解した理系女子ともなると、今後も楽しみなロックガールです。





アヴァランチーズの両A面シングルがすごすぎて震えた・・・。
Jamie XXとのコラボいいっすねー。しかもネナ・チェリーもですよ。一体どんな交友関係になってるんだ。
おまけにもう1曲の"Reflecting Light"のほうは、伝説のブリティッシュSSWヴァシュティ・バニヤンですよ!しかも、聞き耳立てないとわからないくらいのボリュームでフィーチャーされているという贅沢使い・・・いいのか。いいのだ。





ザ・ストリーツことマイク・スキナーの9年ぶりの新作「None Of Are Getting Out Of This Life Alive」は、彼のプライドと実力をまざまざと見せつけられるような作品。Tame Impalaで今の売れ線をしっかりキープしつつ、Jesse Jamesなどのロンドンのラッパーなどの参加で自分の立ち位置もしっかりアピール。そして、元The Musicのロブ(Rob Harvey)にいたっては、ちょっと涙腺ゆるみました。
今でも気軽にちょくちょく聴いている作品です。この曲もクラシックな感じはしますけど、ナチュラルなのにクオリティ高いです。





黒人が白人警官によって命を落としたことで、アメリカではたくさんのミュージシャンが自分の国について歌いました。
(他の国のミュージシャンもそうか・・・UK ROCKバンドがあえてタイトルにつけて歌っていた曲もあったので)
今アメリカ人が考えなければいけないこと、立ち上がらなければいけないことは何なんだ・・・明確でしたね。歌われた歌の中には、我が国を賞賛する歌はないわけです。けれども希望はあるし、そのために前を向いて歩きだそうと鼓舞するリリックやサウンドも曲から感じ取ることもできました。この曲の6分過ぎからもそうですね。


コロちゃん、おとなしくしてくれないかなぁ。梅雨明けて暑いよ・・・。
いつもの夏ではないけれど、それぞれ悪くない夏になりますように。


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2020年07月29日

ジミークリフがまだ頭の中で流れてる・・・映画「パブリック 図書館の奇跡」

今月の番組の月一コーナーPayday for the Musicでは「黒人差別とアメリカ音楽」 と言うテーマでBlack Lives Matter(黒人の命は大切だ)の運動についてお話しをさせていただきました。
「弱者が声をあげることは無意味なのか?」今のアメリカを見ていると明らかにそんなことはないわけで、声をあげることっていうのは、ときには勇気や忍耐力が必要なので苦しい時間も長いでしょうけど、やっぱりここぞ!ってときには必要なんですよね。
ホームレスたちのために声をあげた図書館館員が主人公の映画「パブリック 図書館の奇跡」公開中です。





米オハイオ州シンシナティの公共図書館に勤める主人公スチュアートは、実直な性格でピザ代を節約するためにトマトを家庭菜園するほど節約にもそつがないメガネの独身男。
ある日、図書館の常連のホームレスから「今夜は帰らない。ここを占領する。」と告げられます。なぜなら外は大寒波で死者が出るほどにもかかわらず、緊急シェルターが満杯で行き場がないというのです。状況を考慮したスチュアートは、約70人のホームレスとともに図書館に立てこもり平和的なデモを行うことになったのですが、そこに警察やメディアがやってくると自体は思わぬ方向へねじ曲がってゆき・・・というお話。笑えるシーンが多くありながら考えさせられる映画です。

「パブリック」っていうのは、シンシナティの公共図書館のことをいうそうなんですけど、オハイオ州のこの場所はアメリカのニュースでも度々取り上げられる極寒の地だそうです。で、そこに住むホームレスたちが、開館時間が近づくと列を作って開くのを待つわけです。屋根があって暖がとれますし、トイレではホームレスたちが顔を洗って歯磨きしてるっていう・・・みんな顔見知りだから日々の会話は和やかで、なんなら図書館の館員やセキリュティーの人も一緒になって。だから、立てこもるシーンで本音を語るシーンも出てくるんですね。

「自分たちは退役軍人(軍人としてアメリカのために頑張った人たち)なのに、なんでこんな生活をしなきゃいけないんだろう。」と。でも、ポジティブに生きようとするんです。その黒人ホームレスのセリフの中に「人から妬まれることも奪われるものもない。自由なんだぜ。」っていうのがあるんですけど、それってこの世に自分の存在がまるでないかのような虚無感のようにも感じられて、とても胸が痛かったです。


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この作品の監督であり主演もしているエミリオ・エステベス。この方、お父さんが「地獄の黙示録」のウィラード大尉役だったマーティン・シーン、弟がチャーリー・シーンっていう芸能一家に生まれ育った人で、本人も監督と俳優の2足のわらじで実力が認められている人なんですが、インタビューで語っていたのは「この国にはホームレスを”不憫だけど仕方がない”って思う人がたくさんいる。自力で苦境を打破するための一歩を踏み出さないのは個人の責任だと。でもそもそも一歩を踏み出すためには靴が必要なんだよ」と。「図書館や公共の施設にとってホームレスや生活困窮者を助けるのは道徳上の任務。人の心を持っていれば、それはしごく当然のことだと思う」ということなんですね。


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そんな監督がセットでこだわったのが、図書館内の飾りだそうです。数々の偉人による名言がかかげられているんですが、その中からひとつ、宇多田ヒカルさんも歌詞の中に取り入れていると言われている「ニーバーの祈り」を最後にご紹介しましょう。

「神よ。変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受け入れる冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものを、識別する知恵を与えたまえ」





この映画で歌われる1曲。「どんよりしていた僕の人生、これからは明るくなっていくんだ」っていう歌です。
図書館が舞台。本好きの方はより楽しめるシーンもたくさん出てきますよ〜。


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2020年07月22日

Frank Ocean好きすぎの監督による映画「WAVES」。

現在公開中の映画「WAVES(ウェイヴス)」。
今から問う質問に少しでも心当たりのある方は、ぜひ見てほしい作品です。

@子供に過剰な期待を寄せて、勉強やスポーツなどでプレッシャーをかけていませんか
A咄嗟に言ってしまった言葉で家族や恋人を傷つけてしまったことはないですか
Bずっと連絡を取っていない家族に、本当は会いたいと思っていませんか

どれをとっても、後悔してからでは遅いけど、でも自分の心から逃げずに時を待って伝えれば、きっと乗り越えられる、そんな希望を与えてくれる映画です。





高校生のタイラーは、成績優秀でレスリング部のエリート選手。彼女はチアリーディング部で超かわいい女の子。おうちには厳格なお父さんがいて、ちょっと口うるさいけど、お父さんが再婚した母とも上手くやっているし、何より、この家庭は黒人の一家なんですけど、中流階級でおうちも広い立派なお屋敷だし、何不自由ない生活を送っているんです。
ところが、タイラーが肩の怪我を試合で悪化させたことで、選手生命が危ぶまれて、しかも、そんなときに彼女から妊娠を告げられて、もう自分自身がわからなくなって、ある夜取り返しのつかない行動を起こしてしまうんですね・・・


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映画の前半が、今お話しした兄のタイラーを主軸にしたストーリーです。青春時代の挫折っていうのは、まぁ、ありますよね。お父さんだって、息子に対して厳しいことに悪気はないんです。でも親子の確執って生まれちゃうんですよね。

で、後半は、一年経って、今度はタイラーの妹エミリーが主軸になります。お兄ちゃんのことがあって学校では友人ができないし、SNSも全て消さなければいけなかった・・・思春期の女の子にはなんて過酷な状況かと思いますが、そんなエミリーにひとりの白人青年との出会いが訪れます。お茶に誘うんですけど、誘った理由を聞かれて「君を美しいと思ったから」って言うんですよ。そのシーンがサラッとしてるんですけど素敵なんです。

そして、この映画、最大の魅力は31曲という膨大な曲を使った音楽での演出です。
テーム・インパラ、ケンドリック・ラマー、カニエ・ウェスト、ダイナ・ワシントンなどなど、まるでクラブDJがまわしてるかのようにめくるめく感じで曲が流れることもあれば、面白いのが、テイラーやエミリーの気持ちを曲が代弁することもあって・・・

例えば、タイラーが恋人を探すために夜パーティーにやってきて、まちぶせしてるときの曲にタイラー・ザ・クリエイターの”IFHY”って曲が。「お前が憎い、でも愛してる。俺たちは面倒に巻き込まれるのが得意なんだ。」とか。








エミリーが彼氏と一緒にスプリンクラーで戯れるシーンがあるんですけど、そこで流れるアニマル・コレクティブの”Loch Raven”って曲の歌詞は「僕は君を見捨てない」だったり・・・そして、ヒップホップ中心の選曲なはずなのに美味しいところを持っていったのがレディオヘッドで、ま、ここでは言いませんが家族の再生の場面で使われています。

さらに、それだけ音楽を使っているにもかかわらず、この映画で音楽担当をしているのはナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーとアッティカス・ロス。不安や葛藤、悲しみ、許しなどを見事に表現しています。

映画「WAVES」今観るべき映画です。ぜひ映画館で。





監督が好きすぎてなんと彼の曲だけは5曲もこの映画で使ってしまったというフランク・オーシャン。すごく繊細な、神からの一筋の光を夢見るような歌です。


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映画見ていて、途中であれっ?って私前のめりになってしまったのですが、テイラーが恋人を追っかけてから最悪の事態になるときに、映画のスクリーンがせばまって、昔のテレビサイズくらいになるんですよ。で、話しがエミリーの暗い学校生活から始まるときも狭いまま。で、彼氏になる青年と行動をともにしていくにしたがってスクリーンがまた横長のにもどるんです。精神的な部分をスクリーンでも表現しているんだそうで。撮影の手法にも思いを表現したというところもぜひ注目を。
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2020年07月16日

ロマンティックとJAZZとニューヨークと。映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」

連日続く雨。やっかいな 雨でもありますが、何か恋の予感がする雨でもあります。

公開中の映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」。
ウディ・アレン監督は昨年「#Me Too」運動に巻き込まれまして、アマゾン・スタジオとの契約がダメになったり、この作品も一度は公開が無期限で延期となりました。あのときは正直「あぁ、これでウディアレンのキャリアは終了かな」とも思ったんですが、無事和解して、この映画が公開になって・・・本当によかった。ウディ作品の中でもアカデミー賞4部門を獲得した77年の「アニーホール」に並ぶ傑作です。





ティモシー・シャラメ演じるギャッツビーとエル・ファニング演じるアシュレーは大学生カップル。アシュレーが大学の課題で有名な映画監督にインタビューできることになり、ふたりはニューヨークにいくことになりました。ニューヨーク出身のギャッツビーはアリゾナ出身のアシュレーをどこに案内しようか張り切ってデートプランを考えます。
ところが、2時間で終わるはずのアシュレーのインタビューは終わらず、一方、ギャッツビーも久々にあった友人に頼まれて映画のエキストラをやることになり・・・というお話。


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まず、アシュレーは初めての大都会で普段は会えないような有名な監督や脚本家と出会い、そういうちょっと華々しいというか、映画業界の裏側をのぞけるというか、「かわいいね」とも言ってもらえるし、ちょっと浮き足立つわけです。そうしているうちに、スクープがもらえるかもしれないって言って、彼氏のギャッツビーのところになかなか戻らないんですね。いわゆる「こんなチャンス二度とないかも」というやつです。その好奇心、ちょっとわからなくもないのですが。笑

で、ギャッツビーは裕福ないいとこの坊ちゃんで古き良きを愛するっていう役で、ファッションもティモシー・シャラメがラルフローレンのヘリンボーンのジャケットを着たりして、そして、ウディアレンの脚本ならではの「早口しゃべり」でセリフをいうのが本当にたまらないんですね。笑。そのギャッツビーはアシュレーに放って置かれちゃうので、ひとりでプラプラしてるうちに、さっき言った映画のエキストラでセレーナ・ゴメス演じるチャンとキスシーンをすることになるんですよ。このキスシーンが、雨の車の中、曇ったフロントガラス越しのなんと素敵なこと。で、このチャンは、ギャッツビーの昔の彼女の妹なので顔見知りなんですが、ちょっと大人になったチャンはギャッツビーがからかおうとすると言い返すし、減らず口をたたくんだけど的を得たこともいってくるんです。

流れでメトロポリタン美術館に一緒に行って、ギャッツビーが「自分が何をしたいのかわからない」と嘆くシーンがあるんですけど、チャンがそこで言います。「現実は夢をあきらめた人の世界よ」と。

ウディ・アレンの映画はいつもセリフに様々な名言があって、とりわけ、こういう夢の世界っていうんですかね。映画業界を舞台にしていたり、映画「ミッドナイト・イン・パリ」であれば有名画家たちが活躍した1920年代にタイムスリップしたり、そういう舞台を一歩引いた目で見て「夢の中にいる人々」を描くっていうパターンが多いんですけど、ウディ・アレン自体もずっと夢の中にいるままの映画人だと思います。84歳ですよ。まだまだ映画を撮っていただきたい・・・。

もう、ニューヨークも登場人物もロマンティックすぎて、2回体が浮きました。笑
現在公開中の映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」ぜひご覧ください。





ティモシー・シャラメ演じるギャッツビーがニューヨークに実在する5つ星ホテル、ザ・カーライルのバーでピアノを弾き語りするシーンがあるんですが、演奏して歌うのは"Everything Happens To Me"。素敵なシーンでした。
posted by なりたま at 18:48| movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月08日

今池シネマテークで映画「SKIN」を見た。白人至上主義について知る。

「Black Lives Matter」で連日アメリカのニュースを目や耳にしますが、そんな中でひときわ注目されている作品が公開中です。
幼い頃両親に捨てられ、白人至上主義者に洗脳されて育った筋金入りのレイシスト、ブライドン・ワイドナーの狂気と贖罪を描いた映画「SKIN」。実話です。
人種差別の思想から、実際レイシストの人がどんなことをしているのか、どうやって仲間が集まってくるのか、また、そこから逃れようとしたときにどんなことが起こるのかっていうのを知ることができました。





スキンヘッドで顔面に憎悪を象徴する無数のタトゥーを持つ、主人公のブライオン。
彼は白人至上主義者に育てられ、差別と暴力に生きてきました。ある日、シングルマザーで3人の娘を育てるジュリーと出会うと、自分の人生に迷いを感じ始めます。グループを抜けてジュリーと新しい生活を始めようとしますが、前科とタトゥーが障害となりなかなか仕事に就くことができません。また、彼の裏切りを許さない組織から執拗な脅迫や暴力を受け、容赦なくジュリーたちにも向けられていきます。
そんなとき、以前は対立していた反ヘイト団体を運営する黒人のダリルが、白人至上主義者からの転向を手助けすると申し出てきました。タトゥー除去に資金を提供する人が現れ、ブライオンは計25回、16ヶ月に及ぶ除去手術に挑む・・・というお話。

顔や体に彫ってあるタトゥーは鉤十字とか強い意味を持つものが極太でしっかりと刻まれているんですね。タトゥーを入れるときだってウイ〜ンとやって墨も入れて痛いはずなのに、これらタトゥーを除去するっていうのはもっともっと痛いんだそうですね。大の男がうめく姿、しかも全身、顔も指も、その覚悟がどれだけのものかっていうのもタトゥーの除去シーンからも伝わってきます。


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このブライオンを演じたのが、映画「リトルダンサー」のジェイミーベル。しなやかにバレエを踊る少年が、スキンヘッドでタトゥーまみれのネオナチを演じているわけです。
このタトゥーをメイクで入れるのに3時間ほどかかったそうですけど、ジェイミーベルはそのタトゥーが入ったまま数日生活をしたそうです。役作りをして、撮影に臨んだ彼の姿はダークサイドに堕ちたように常に怒っていて、怪物と化していたそうなんですね。

映画を見る前に「怖かったらどうしよう」って思ったんですけど、目を覆いたくなるような怖さっていうのはなくて・・・実際同じ人間で「白人以外はアメリカ人じゃない。黒人は殺してもいいんだ。」なんて本気で思っている人たちってこういう風に生まれてくるんだ、っていう人間の闇っていうのが何かを知らなければ根本的な解決にはならないんじゃないかなっていう気持ちで見ることができました。


で、監督はイスラエル出身のガイ・ナティーヴさんっていう方なんですけど、おじいさんがホロコーストの生き残りの方で、「ヘイト=憎む」っていうことの恐ろしさや虚しさっていうのも知っているし、次の世代のためにも伝えたかった、と。

ただ、最初はすぐにこの実話の映画化ができたわけではなくて、こういうテーマだけにプロデューサーに反対された、と。そこで資金調達のために、同じ人種差別をテーマにした短編の作品を作ったところ、それが数々の賞を受賞し、ついに2019年アカデミー賞短編映画賞を受賞。たまたま映画を見たスティング夫妻が気に入ったそうで、妻のトゥルーディー・スタイラーがプロデューサーとして協力してくれたことが資金面での支えに。そして、監督曰く、トランプ大統領が誕生したことが長編制作への追い風となったそうです。「アメリカの裏が、表に出た」と。皮肉ではありますが、多くの人たちがあらためて人種について考え、この作品や出来事(人物)に興味をもったということになります。


現在公開中、映画「SKIN」ぜひ見て、今起きていることについても知ってください。


今池中華そば.jpg


映画の前に足を運んだ「大文字」。
中華そばのお出汁に心がジーンとなりました。
7席あるお席が現在はソーシャルディスタンスのため4席に。
こういう飲食店がきっとたくさんありますね。どこも頑張ってほしい。


今池ハードコアは死なず.jpg
posted by なりたま at 15:33| movie | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする